タイトルにございますように「こち亀」で有名な葛飾区亀有に鎮座する香取神社の公式ブログです。
我々ではホームページを更新できませんので、
このブログにて亀有香取神社の日々のちょっとした出来事、
細かなご報告ご案内等を更新していきたいと思います。
たまに神主や巫女の私事も書く事がございますが、
そこはもっと我々神主巫女をみじかに感じて頂きたく、何卒ご理解下さいませ。
現在は神主5人、巫女2人、事務方2人の8人体制でランダムに更新しております。


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ブログではなかなか更新しきれない細かなご報告や写真など随時更新しておりますので、
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2016年07月28日

古事記〜海幸彦と山幸彦A

こんにちは、神主のすおうです
本日も古事記の現代語訳を進めていきます。
前回は海幸彦と山幸彦@のお話でしたので、今回は海幸彦と山幸彦Aのお話です。
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ホヲリ命はここへ来る事となった経緯を思い出してため息をついた。
タマヨリ姫と父神が訳を尋ねると、ホヲリ命は兄弟げんかの有様を詳しく説明しました。

訳を聞いた父神は海中の魚を集めて、針を取った魚がいないか確かめました。すると、鯛の喉に何かが刺さっているではありませんか。

そこで鯛の喉を探り、刺さっていた物を取り出して洗ってホヲリ命に見せました。
そして父神は、針をホヲリ命に渡す際、
「この針を兄樣にあげる時には『この鉤は憂鬱な針の粗忽な針。貧乏針の悲しみ針だ』と言つて、うしろ向きに渡しなさい。
そして兄樣が高い所に田を作ったら、あなたは低い所に田をお作りなさい。
兄樣が低い所に田を作ったら、あなたは高い所に田をお作りなさい。
わたくしは水を司っておりますから、三年の間にきっと兄樣が貧しくなるでしよう。
もしそれを恨んで攻めてきたら、潮の満ちる珠を出して溺らせ、
もし謝罪してきたら、潮の乾く珠を出して生かし、苦しめなさい」
と言い、潮の滿ちる珠と潮の乾る珠の2つを授けました。
・逆のことを言って幸を遠ざける意味があります。この場合、幸(針)の悪口を言って、その恩恵を遠ざけようというたくらみがあります。

そしてサメを集めて、質問をした。
「ホヲリ命が人間の世界に行こうとしているのだが、お前たちだとどれくらいかかるか?」
「わたくしが一日にお送り申し上げて還つて參りましよう」
「それならお前に送ってもらおうかな。ただし海中を渡る時に恐がらせてはいけないぞ」

そうして、人が左右に手を広げたくらいの長さのサメが約束通り一日で送って行った。
そのサメが帰ろうとしたときに、ホヲリ命は紐の附いている小刀を解いて、その鰐の頸につけてお返しになりました。
なのでそのサメを佐比持(サヒモチ)神という。
・サヒモチは鋤であり武器でもあります。鋤を持っている神様という意味です。

こうして海神の教えた通りにして鉤を返しました。
呪いをかけたことによって非常に貧しくなった兄ホデリ命は荒い心を起して攻めて來ます。
攻めてきたときは珠を使って溺れさせ、謝ってきたら珠を使って救いだしました。
さんざん苦しめられた兄ホデリ命は、
「わたくしは今から後、あなた樣の晝夜の護衞兵となつてお仕え申し上げましよう」
と言った。
そこで今に至るまで隼人はやとはその溺れた時のしわざを演じてお仕え申し上げるのです。


※古事記の現代語訳と銘打ってはいますが、『古事記』は様々な解釈・考察がなされている作品です。このブログでご紹介するお話はあくまでも一説でございます。
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2016年03月23日

古事記〜海幸彦と山幸彦@

こんにちは、神主のすおうです
本日も古事記の現代語訳を進めていきます。
前回は木花之佐久夜毘売Aのお話でしたので、今回は海幸彦と山幸彦@のお話です。
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長男ホデリの命は海幸彦(うみさちびこ)として、海のさまざまの魚を取り、
三男ホヲリの命は山幸彦(やまさちびこ)として、山に住む鳥獸の類を取っていた。
・海幸彦・山幸彦は、海の幸がある男・山の幸がある男という意味。ここでいう幸は威力や恵みの事で、道具にも宿っています。この幸を有している者が、多くの獲物や恩恵を得られるのです。

ある日山幸彦が兄の海幸彦にお互いの道具を交換してみないかと提案しました。
兄は3度も断りましたが、とうとう承諾し、お互いの道具を交換したのでした。
念願叶って、早速釣りをしようと海に行った弟ですが、一向に釣れません。はては借りた釣り針まで海に落としてしまいました。
そして、兄が「やっぱり自分の道具が一番だな。お互いの幸(道具)を返そう」と言い出しました。
弟は海に釣り針を落としたことを打ち明けましたが、なおも兄は返せと言いつのります。弟が腰にはいている剣でもって、500針・1000針と釣り針を作って償おうとしますが、一つも受け取りません。
「あれは特別な釣り針だったのだ。さっさと返せ」と言うのでした。
・上でも述べましたが、自身の幸を使ってこそ威力を発揮するのです。兄のホデリ命もまた、山での成果は得られなかったのでしょう。
威力の籠っている道具以外は、いくらあっても無益です。元の釣り針に勝るものが無いので兄は受け取らないのです。


そこで弟が海で泣いていると、物知りな塩椎(しほつち)神がやってきました。
泣く訳を尋ねるので、ホオリ命は説明しました。
事情を聞いたシホツチ神は、隙間の無い籠の船を用意して、海の宮殿に案内すると言いました。そこの海神の女性に何とかしてもらおうというたくらみです。
・シホツチ神は海水の神霊で、諸国の海岸に打ち寄せるので物知りとされています。
また、その神が用意した隙間の無い籠の船は竹で編みこんで樹皮を塗って作られた船の事。思想的には神の船です。


その船に乗り、魚の鱗のような宮殿の門前にある木の上に登って女性を待っていました。するとそこへ、海神の娘豊玉毘売(トヨタマビメ)の侍女がやってきました。手には美しい椀を持っています。
侍女がその器に水を汲もうとすると井に光がさしました。侍女が仰いでみると立派な男性が立っております。不思議に思っているとその男性(ホオリ命)から「水をください」と言われました。
なので、水を汲んで器に入れてあげたけれど、水は飲みませんでした。
代わりに首に着けている珠を口に含み、その器に移し入れました。すると、珠と器がくっついて取れなくなってしまったのです。
・井の側の樹木には神が降りるという信仰があります。珠が器にくっついたのは、樹木にいた神の霊が遷ったということになります。

仕方がないので、珠が付いたままの器を持って、トヨタマ姫に報告に行き、その珠付きの器を差し出しました。その話を聞いたトヨタマ姫が確認すると、門前に立派な男性がいたので父に報告をしました。

父が確認をすると、天上の神々の子孫だということがわかり、ご馳走をふるまい、トヨタマ姫と結婚をさせました。そしてホオリ命は3年ほどその宮殿に留まったのです。
・この種の説話では、3年という決まった年数が出てきます。国譲りの神話の際、天穂日命が高天原に報告を怠ったのは3年で、浦島太郎が竜宮城に居たのも3年とされています。

※古事記の現代語訳と銘打ってはいますが、『古事記』は様々な解釈・考察がなされている作品です。このブログでご紹介するお話はあくまでも一説でございます。
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2016年03月16日

古事記〜木花之佐久夜毘売A

こんにちは、神主のすおうです
本日も古事記の現代語訳を進めていきます。
前回は木花之佐久夜毘売@のお話でしたので、今回は木花之佐久夜毘売Aのお話です。
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その後、サクヤ姫は妊娠したのでそのことをニニギに伝えたました。
するとニニギは、
「本当に私の子? たった一夜で? 浮気したんじゃないのか?」
とサクヤ姫に言いました。
・妊婦にひどい侮辱です。しかもこれは一夜孕みといって、神話では一夜で子をなすことは神聖の証明とされております。ギリシャ神話のゼウスや、ユーサー・ペンドラゴン王など。ニニギノミコトはそれを知らないか、忘れていたのでしょう。もちろんこんな事を言われたら奥さんは怒ります。

疑いを向けられたサクヤ姫はニニギにこう言いました。
「私がこれからすることに、この腹の子が神の子であるならば、無事に産まれる事でしょう。けれどそうでないのなら、きっと無事ではありません」
といって、戸口の無い家に立てこもり入口を塗ふさいで、その中から火を放った。
そうして、火が赤く照り輝く意の神・火照(ホデリ)命
火の衰えを表す神・火須勢理(ホスセリ)命
火の鎮まりを表す神・火遠理(ホヲリ)命【別名:天つ日高日子穂穂出見(アマツヒコヒコホホデミ)命】
を出産した。
・引田天功もびっくりのイリュージョン。炎の中で無事に出産しました。
サクヤ姫はなにも自棄になった訳ではなく、誓約(ウケイ)を行ったわけです。
アマテラスとスサノオも行っておりましたが、誓約(ウケイ)は神に誓って神意を伺う儀式のことです。
またこの炎は、出産後に産屋を焼く風習があるのをこのように表現しています。
次回はこの長男火照命と三男火遠理命が喧嘩をします。


※古事記の現代語訳と銘打ってはいますが、『古事記』は様々な解釈・考察がなされている作品です。このブログでご紹介するお話はあくまでも一説でございます。
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2016年03月09日

古事記〜木花之佐久夜毘売@

こんにちは、神主のすおうです
古事記の現代語訳を進めていきます。
前回は猿田彦神と天宇受賣命のお話でしたので、今回は木花之佐久夜毘売@のお話です。
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ニニギは笠沙(かささ)の岬で美しい娘に逢った。
「貴女はどこの御嬢さんですか?」
ニニギが尋ねると、娘は、
「私は【大山津見神・オホヤマツミノカミ】の娘で、【木花之佐久夜毘売・コノハナノサクヤビメ】と申します」
と答えた。
・木花之佐久夜毘売は、美人を美しい花に例えた名前です。

ニニギが「御兄弟はいる?」と尋ねると、
【石長比売・イワナガヒメ】という姉がおります」と答えた。
・石長比売は、岩のように長く変わらないことを例えた名前です。

そして、ニニギは
「貴女と結婚したいのですが、どうですか?」とすぐさま求婚した。
それに対し、姫は、
「私から何とも。父がお答えいたしますので」と返した。
・出会ってすぐ求婚は神話によくあります。その際に嫁側の父親が婚姻の条件をつけて、それを満たしたら成立というお話が多いです。
神話において、何かに対して条件を出される場合、とても鮮やかに機転を利かせて条件をクリアするお話、条件が気に入らないので言いつけを破って罰を受けるお話、ピンチの時に頼もしい助っ人が現れて条件をクリアするお話などがあります。
今回は言いつけを破って怒られるお話です。


姫の父神、大山津見神は大喜びで求婚を承諾。姉の石長比売と一緒に沢山の献上物を持たせて嫁がせた。
しかし、姉の石長比売はとてもブサイクだったので、姉だけ返して美人な妹と結婚した。
すると父神は、
「私が2人の姫を嫁がせたのは、
姉の石長比売と共にいれば御子の寿命は永久に石のように堅実に、
妹の木花之佐久夜毘売と共にいれば木の花のように栄えるであろうと誓ってのことです。
姉だけ返されたので御子の寿命は木の花のように脆くなることでしょう」
そうしたわけで、今日に至るまで天皇の寿命は長くはないのです。


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2015年08月19日

古事記〜猿田彦神と天宇受賣命

こんにちは、神主のすおうです
本日も古事記の現代語訳を進めていきます。
前回は天孫降臨Aのお話でしたので、今回は猿田彦神と天宇受賣命のお話です。
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さてそこで、邇邇芸(ニニギ)命天宇受売(アメノウズメ)命に、
「この先導の役に奉仕した猿田彦(サルタビコ)は、
そなたがお送りしなさい。
またその神の御名は、そなたが負って、天つ神の御子にお仕え申しなさい」と仰せられた。
こうして猿女君たちは、その猿田彦の男神の名を負うて、女を猿女君と呼ぶことになった。

・電撃結婚です。
・神話の流れからくる苗字は全国にいくつかありまして、最も栄えたのが「藤原氏」です。この「猿女(さるめ)」という苗字も神話の流れを汲んでおりまして、全国に10人前後しかいらっしゃらないそうです。

さてその猿田毘古(サルタビコ)神が、阿耶訶(あざか)にいた時、
漁をしていて、ひらぶ貝にその手を挟まれ、そのまま海水に沈み溺れた。

海の底に沈んでいる時の名前は、底どく御魂といい、
その海水が泡粒となって上がるときの名前は、つぶたつ御魂といい、
その泡が裂けるときの名は、あわさく御魂という。

・おっちょこちょいな神様です。貝に手を挟まれて溺れてしまいました。
結婚してたった数行で、亡くなる時の描写があることに驚きます。

さて、天宇受売(アメノウズメ)命は、猿田毘古(サルタビコ)神を送って帰って来て、
ただちに大小のあらゆる魚類を追い集めて、
「お前たちは、天つ神の御子の御膳(ミケ)として御仕え申し上げるか」と聞いた。
多くの魚がみな「御仕え申しましょう」と申し上げた中で、海鼠(なまこ)だけは答えなかった。
そこで天宇受売(アメノウズメ)命が海鼠に向かって「この口は答えない口か」と言って、紐小刀でその口を裂いた。
だから今でもナマコの口は裂けているのだ。

・結構気性が激しいアメノウズメ命。
・ナマコは昔から食されていたようですね。
昔話にはよく「だから○○は■■なのだ」という文が出てきます。この昔話的由縁句が私はわりと好きです。

※古事記の現代語訳と銘打ってはいますが、『古事記』は様々な解釈・考察がなされている作品です。このブログでご紹介するお話はあくまでも一説でございます。
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2015年08月12日

古事記〜天孫降臨A

こんにちは、神主のすおうです
本日も古事記の現代語訳を進めていきます。
前回は天孫降臨@のお話でしたので、今回は天孫降臨Aのお話です。
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さてそこで、天つ神は邇邇芸(ニニギ)命に命じた。

邇邇芸(ニニギ)命は、
高天原の神座を離れ、
天空に幾重にもたなびく雲を押し分け、
神威をもって道をかき分けかき分けて、
途中、天の浮橋から浮島にお立ちになり、
筑紫の日向の高千穂の霊峰に、天下りになった。

・登場の場面が非常に細かく記されております。
古事記の描写は視覚的にもわかりやすく面白いです。

その時、天忍日(アメノオシヒ)命、天津久米(アマツクメ)命の二人は、
立派なユギ(矢を入れる道具)を背負い、
クブツチの太刀腰につけ、
ハジ弓を手に執り、
真鹿児矢を手挟み持って、
天孫の先に立って御仕え申し上げた。


このとき邇邇芸(ニニギ)命が
「この地は朝鮮に相対しており、笠沙の御崎にまっすぐ道が通じていて、
朝日のまともに差す国であり、夕日の明るく照る国である。
だから、ここはまことに良い土地だ」と言って、
ここに壮大な宮殿に建ててお住まいになった。

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2015年08月05日

古事記〜天孫降臨@

こんにちは、神主のすおうです
本日も古事記の現代語訳を進めていきます。
前回は猿田彦神のお話でしたので、今回は天孫降臨@のお話です。
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こうして、
天児屋(アメノコヤネ)命
布刀玉(フトダマ)命
天宇受売(アメノウズメ)命
伊斯許理度売(イシコリドメ)命
玉祖(タマノオヤ)命の、
合わせて五つに分かれた部族の首長を加えて、天下りした。

その時、あの天照大御神を岩屋戸から顔を出させた
八尺の勾玉

及び草薙の剣

それに
常世の思金(オモヒカネ)神
天手力男(アメノタヂカラオ)神
宮門を守護する神天石門別(アメノイハトワケ)神【別名:櫛石窓(クシイワマド)神・豊石窓(トヨイワマド)神】を加えて、
天照大御神はこうおっしゃいました。
「この鏡はひたすらに私の御魂として、私を拝むのと同じように敬ってお祭りしなさい。
そして思金(オモヒカネ)神は、神の朝廷の祭に関することを取り扱って政事を行いなさい」と。

(天照大御神と思金神は、五十鈴の宮の丁重にお祀りされている。)

・日本神話に明るくない方でも耳にしたことのある四字熟語「天孫降臨」
そのシーンの始まりです。
天の岩戸で活躍した神様や祭具が改めて紹介されております。
勾玉、鏡、草薙の剣と、いわゆる「三種の神器」。これは皇室にとっても重要な祭具で、大切にされています。

・このあと本文では、神様の鎮座地やどこの氏神かが書かれております。ここでは割愛いたします。日本の神様はどこかの地を守る氏神様の集まりで、その地に住む人々や豪族、土地そのものを守る存在です。
興味をひかれましたら、これを機にご自分のお住まいの地の氏神様をぜひ調べてみてください。

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2015年04月13日

古事記〜猿田彦神

こんにちは、神主のすおうです
本日も古事記の現代語訳を進めていきます。
前回は邇邇芸命の生誕のお話でしたので、今回は猿田彦神 のお話です。
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さて日子火(ヒコホ)ノ邇邇芸(ニニギ)命が、天下りしようとしたら、
天から降る道の辻に、高天が原を照らし、葦原中つ国を照らしている神がいた。


そこで、天照大御神が天宇受売(アメノウズメ)命に
「あなたはか弱い乙女であるが、向き合った神に対して、気後れせず圧倒できる神だ。だから、あなたその神に向かって、
『天津神の御子の天下りする道に、そのように出ているあなたは誰か』と尋ねてきなさい」と命じた。


それで天宇受売(アメノウズメ)神が問いただした時、その神は、
「私は国津神で、名は猿田毘古(サルタビコ)と申します。私がここに出ている訳は、
天つ神の御子が天下っておいでになる、と聞きましたので、
御先導の役に御仕えいたそうと思って、お迎えに参っております」と申し上げた。

・非常に有名なシーンです。
道案内の神様として霊験あらたかな神様です。

ちなみにこの二人。夫婦になります。

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2015年04月11日

古事記〜邇邇芸命の生誕

こんにちは、神主のすおうです
本日も古事記の現代語訳を進めていきます。
前回は大国主の国譲りDのお話でしたので、今回は邇邇芸命の生誕のお話です。
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天照(アマテラス)大神と高木神が、
日祠の御子の正哉吾勝勝速日天忍穂耳命に対して、
「今、葦原中つ国を平定し終わったそうだ。
だから、先に委任したとおり、その国に天下って統治なさい」と言った。
ところが、天忍穂耳(アメノオシホミミ)命は、
「私が天下ろうと支度をしている間に、子が生まれました。
名は、天饒石国饒石天津日高日子火(アメニキシクニニキシアマツヒコヒコホ)ノ邇邇芸(ニニギ)命と申します。
この子を降すのがよいでしょう。」
と申し上げた。


この御子は、天忍穂耳(アメノオシホミミ)命が、
【高木神の娘の万幡豊秋津師比売(ヨロズハタトヨアキツシヒメ)命】と結婚なさって生んだ子である。

・ちなみに二柱お生みになられました。
天火明(アメノホアカアリ)命と、
次に日子火邇邇芸(ヒコホノニニギ)命の二柱です。

こういうわけで日子火邇邇芸(ヒコホノニニギ)命に、
「この豊葦原の水穂国は、あなたが統治なさるべき国であると委任します。
だから命令に従って天下りなさい」と仰せになった。

・「天孫降臨」の「天孫」がニニギノ命。
「天」照(アマテラス)の「孫」という意味です。
・ニニギノミコトの正式名称は
「天饒石国饒石天津日高日子火(アメニキシクニニキシアマツヒコヒコホ)ノ邇邇芸(ニニギ)命」
です。
天下の天孫です。

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2015年04月09日

古事記〜大国主の国譲りD

こんにちは、神主のすおうです
本日も古事記の現代語訳を進めていきます。
前回は大国主の国譲りCのお話でしたので、今回は大国主の国譲りDのお話です。
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建御雷(タケミカヅチ)神は、出雲に帰ってきて大国主神に
「あなたの子供の事代主(コトシロヌシ)神・建御名方(タケミナカタ)神の二柱の神は、
『天津神の御子の仰せのとおりに従います』と言っていた。
あなたの考えはどうなのか」と尋ねた。


すると大国主神は「私の子供の二柱の神の言うとおり、私は背きません。
この葦原中つ国は、仰せのとおり、ことごとく献上いたしましょう。
ただ私の住む所に立派な神殿を御造り下さるならば、
私は遠い遠い幽界に隠退しておりましょう。
また私の子供の百八十神達は、八重事代主(ヤヘコトシロヌシ)神が、神々の前に立ち、
後ろに立って御仕え申したならば、背く神はありますまい」と申した。

・完全降伏と講和条約。交換条件ですね。
「〇〇を許す代わりに、そっちは□□をしろ」ただでなんでもすると思ったら大間違いよ、ということです。
この要求された豪華な大国主の新居。
これが出雲大社です。

このように大国主神が申して、出雲の国に神聖な神殿を造って、
【水門の神の孫の櫛八玉(クシヤタマ)神】が料理人となって、食事を献るとき、
【櫛八玉(クシヤタマ)神】が鵜になって海底に潜り、
海底の粘土を咥えて出て、多くの平たい土器を作り、
海藻の茎を刈って火きり臼を作り、コモの茎で火きり杵を作って、
神聖な火をきり出した。
そして言祝ぎの詞を唱えました。


この我が燧(キ)れる火は、
高天原には、神産巣日の御祖命(ミオヤノミコト)の、とだる天の新巣(ニヒス)の凝烟(スス)の、
八拳(ヤツカ)垂(タ)るまで焼(タ)きあげ、
地(ツチ)の下は、底つ石根に焼(タ)き凝(コ)らして、
拓縄(タクナハ)の千尋縄(チヒロナハ)打ち延(ハ)へ、
釣(ツリ)する海人(アマ)の、口大(クチオホ)の尾翼鱸(オハタスズキ)、
さわさわに、ひき依(ヨ)せあげて、
打竹(サキタケ)の、とををとををに、
天(アメ)の真魚咋(マナグヒ)、献(タテマツ)る。


この私が切り出した火は、
高天が原では神産巣日の御祖の神の立派な新しい御殿の煤が、
長々と垂れ下がるまでに盛んに焚き上げ、
地の下は地底の磐石に届くまで焚き固まらせて、
千尋の長いたくなわを海中に延ばして、
海人の釣る、口が大きく尾ひれの見事な鱸(スズキ)を、
ざわざわと賑やかに引き寄せ上げて、
載せる台もたわむほどにたくさん盛り上げて、
魚の料理を献ります。


そこで建御雷(タケミカヅチ)神は、高天が原に帰り上って、葦原中つ国を平定し帰順させた状況を復命された。
・いろいろな神様がおりますが、料理人の神様までいるのですね。

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2015年04月08日

古事記〜大国主の国譲りC

こんにちは、神主のすおうです
本日も古事記の現代語訳を進めていきます。
前回は大国主の国譲りBのお話でしたので、今回は大国主の国譲りCのお話です。
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建御名方神

そこで建御雷(タケミカヅチ)神が大国主神に向かって
「今、あなたの子の事代主(コトシロヌシ)神が、このように申した。
ほかに意見を言うような子がいるか」と尋ねた。

すると大国主神が、
「もう一人、我が子、建御名方神がおります。これ以外におりません」
と答えた。
そうこうしている間に、建御名方(タケミナカタ)神が、千人引きの大岩を手の先に差し上げてやって来た。
「誰だ!私の国に来て、そのようにないしょ話をするのは。
それならば力較べをしよう。
では、私がまず、あなたのお手をつかんでみよう」と言った。

・唐突に力比べをします。話合いでは解決できずに、武力衝突したということです。
・力比べとは、握力の強さを競います。

それで建御雷(タケミカヅチ)神が、自分の手をつかませると、たちどころに氷柱(ツララ)に変化させ、
また剣の刃に変化させてしまった。
それで建御名方神は恐れをなして引き下がった。

今度は建御雷神が、建御名方(タケミナカタ)神の手をつかもうと申し出て、
それを掴むと、葦の若葉をつかむように、握りつぶして放り投げた。
建御名方神は、逃げ去ってしまった。

そこで追いかけて行って、信濃の国の諏訪湖まで追い詰めて、殺そうとしたとき、
建御名方神が申すには、
「恐れ入りました。私を殺さないでください。
私はこの諏訪を離れては、どこにも行きません。また父の大国主神の命令に背きません。
また八重事代主神の言葉にも背きません。
この葦原中つ国は、天つ神の御子のお言葉に従って献りましょう」と申した。

・建御名方神の降伏は、出雲の政治的支配力を皇室に譲っての服従を意味します。

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2015年02月20日

古事記H〜大国主の国譲りB

こんにちは、神主のすおうです
本日も古事記の現代語訳を進めていきます。
前回は大国主の国譲りAのお話でしたので、今回は大国主の国譲りBのお話です。
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そこでまた、「どの神を遣わしたらよかろうか」と話し合いになった。
思金(オモヒカネ)神や大勢の神は
「天の安河の川上の天石屋におられる、
伊都之尾羽張(イツノオハバリ)神という名の神を遣わすのがよいでしょう。


もしくは、その神の子の建御雷之男(タケミカヅチ)神を遣わすのがよいでしょう。
天之尾羽張(アメノオハバリ)神は、天の安河の水を逆に塞き上げて道を塞いでおりますから、他の神は行けません。
なので、鹿神の天迦久(アメノカク)神を遣わして、尋ねるのがよいでしょう」と申し上げた。


天之尾羽張神に聞いてみたところ、
「畏まりました。御遣え申しましょう。しかしこのお遣いには、私の子の建御雷(タケミカヅチ)を遣わすのがよいでしょう」
と言って、ただちに差し上げた。
そこで天照大御神は、天鳥船神を建御雷に副えて、葦原中つ国に遣わした。

・古事記では最初「伊都之尾羽張」と紹介されていますが、次の文では「天之尾羽張」となっています。ですが、同じ神です。
天之尾羽張(アメノオハバリ)はイザナミを焼き殺すに到ったカグツチを、イザナギが切り殺した、その時の剣の神様です。
〈第6回古事記A http://katorijinja.seesaa.net/article/284214733.html
そのカグツチの血から多くの神様が生まれました。建御雷もその中の一柱です。


そんなわけで、この二柱の神は、出雲国の稲佐の小浜に降り着いて、
十拳剣を抜いて逆さまに波頭に刺し立て、その剣の切先にあぐらをかいて、
大国主神に尋ねた。
「天照大御神と高木神の命で、そなたの意向を聞くためにやってきた。
そなたの領有している葦原中つ国は、天照大御神の御子の統治なさる国である。
そなたの考えはどうなのか」

・高木神(=高御産巣日(タカムスヒ)神)

大国主神は、
「私はお答えできません。私の子の宣託の神事代主(コトシロヌシ)神がお答えするでしょう。
ところが今、鳥狩や漁をして、美保の崎にでかけてまだ帰ってきません」と申した。


そこで天鳥船神を遣わして、事代主神を呼び寄せて、意向をお尋ねになったところ、
その父の大国主神に語って事代主神は
「畏まりました。この国は天つ神の御子に奉りましょう」と言って、ただちに乗ってきた船を踏み傾け、
天の逆手を打って、船を青葉の柴垣に変化させ、その中に篭ってしまった。

・「逆手を打つ」というのは、呪術の一種。
・事代主神が引っ込むという事は、出雲の宗教的支配力を皇室に譲っての服従を意味します。次回揉めますけどね。

※古事記の現代語訳と銘打ってはいますが、『古事記』は様々な解釈・考察がなされている作品です。このブログでご紹介するお話はあくまでも一説でございます。
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2015年02月19日

古事記H大国主の国譲りA

こんにちは、神主のすおうです
本日も古事記の現代語訳を進めていきます。
前回は大国主の国譲り@のお話でしたので、今回は大国主の国譲りAのお話です。
--------------------------------------------
天若日子が死んでしまい、妻の下照比売(シタテルヒメ)命は泣き喚いた。
その泣く声が風の吹くにつれて響いて天上にまで届くほどに。
天上にいる天若日子の父の天津国玉(アマツクニタマ)神や、その妻子がこれを聞いて、天若日子が死んだことを覚った。
そして天上から降って来て泣き悲しんだ。
やがてそこに死体を安置する喪屋を作り、
雁を食物を運ぶ係とし、
鷺(サギ)を掃除係の掃(ハハキ)持ちとし、
翠鳥(=かわせみ)を使者に供える食事を作る係とし、
雀を米つき女とし、
雉を泣き女とし、
このように葬儀の役目を決定して、八日八夜の間、歌舞して死者を弔った。

・葬式を進行させるのは鳥ばかり。鳥は愛されていたのですね。
・ある地域のお葬式では、泣き女という役を雇うこともあるとか。前回天若日子に殺されたのは鳴女という雉です。関連性はないでしょうが、鳴女という雉を殺し、それが原因で死亡し、自分の葬式の泣き女を務めるのが雉だとは。皮肉なのかなんなのか。


そのとき、阿遅金且高日子根(アヂスキタカヒコネ)神がお悔やみを言いに来た。
天若日子の父、とその妻が皆泣いて、
「生きていたのか!」と言って、手足に取りすがって泣き悲しんだ。
阿遅金且高日子根神を、天若日子と間違えたのは、この二柱の神の顔や姿が大変よく似ていたからである。

・阿遅金且高日子根は大国主の子供です。
「7/31古事記F〜大国主の神裔http://katorijinja.seesaa.net/article/368202699.html参照」
天若日子の妻、下照比売のお兄さんです。
・だから、下照比売は奥さんとして、妹として、二人を間違えてはいけないんです。

阿遅金且高日子根神はひどく怒って、
「私は親友だからお悔やみに来たのだ。何故に私を汚らわしい死人に見立てるのか」
と言って、身に着けておられた十拳剣を抜いて、その喪屋を切り倒し、足で蹴飛ばした。
これが美濃国の藍見河の川上にある喪山という山である。

・岐阜県長良川の上流。
その時手にして喪屋を切った太刀の名は大量(おおはかり)といい、別名は神度剣といいます。
・親友の葬儀でちょっと怒り過ぎとは思いますが、死人と間違えられるのは、大変な侮辱で許しがたいことでした。

そして、阿遅金且高日子根神が怒って飛び去った後、
高比売(タカヒメ)命【下照比売の別名】が、兄神の御名を明かそうと思った。
そして歌った歌は、


天なるや 弟棚機の 項がせる 
玉の御統(みすまる) 御統に、
穴玉はや 
み谷 二渡らす 
阿治志貴 高日子根の神そ



天上にいるうら若い機織女が、
頸にかけている緒に貫き通した首飾りの玉、
その緒に通した穴玉の輝かしさよ、
そのように谷二つを越えて輝きわたる神は、
アヂキタカヒコネノカミである。

と歌った。
この歌は、「夷振(ひなぶり)の歌曲(=田舎風の歌曲)」の歌である。

・歌に出てくる「輝き」は雷神の雷光を讃えたものです。


※古事記の現代語訳と銘打ってはいますが、『古事記』は様々な解釈・考察がなされている作品です。このブログでご紹介するお話はあくまでも一説でございます。
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2014年02月14日

古事記〜目次

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2014年02月07日

古事記H〜大国主の国譲り@

おひさしぶりです、神主のすおうです。
本日も古事記の現代語訳を進めていきます。
前回は大年神の神裔のお話でしたので、今回は大国主の国譲り@のお話です。
【目次】
--------------------------------------------
天照大御神は、
豊葦原の千秋長五百秋(チアキナガイホアキ)の水穂国は、我が子の天忍穂耳(アメノオシホミミ)命の統治すべき国です」
と、統治を委任し、天忍穂耳命を高天原から降ろした。

・新章突入。
神話上重要な「大国主の国譲り」の前段です。
・「豊葦原の千秋長五百秋の水穂国=日本の美称」
豊かな葦原で永久に穀物のよく育つ国の意。水辺の豊かな美しい国。

しかし天忍穂耳命は、天の浮橋から下界を見て、
「下界は、ひどく騒がしい様子だな」
と、また高天原に引き返し、天照大御神に指図を仰いだ。


そこで高御産巣日(タカムスヒ)神と天照大御神は
天の安河の河原にあらゆる神々を召集させて、
思金(オモヒカネ)神に万策を考えさせた。


天照大御神が
「この葦原中つ国は、我が子天忍穂耳の統治する国として委任した国です。
ところがこの国には、暴威をふるう乱暴な国津神どもが大勢いると思われる。
どの神を遣わして、これを平定したらよかろうか」と尋ねた。

・国津神=土地の神
・「この国には、暴威をふるう乱暴な国津神どもが大勢いると思われる」
この言い方では、世が乱れに乱れ、混沌とした世界の様ですが、
大国主とスクナヒコがしっかり国造りに汗水流した土地であることを思い出してください。言いがかりみたいですね。

相談した結果、「天穂日(アメノホヒ)命を遣わすのがよい」ということになった。
そこで天穂日神を遣わしたけれど、この神は大国主神に媚びへつらって、三年たっても復命しなかった。

・天穂日(アメノホヒ)命は、天照とスサノヲの仲悪姉弟の誓約(ウケイ)で生まれた五皇子の次男。天照の子。
・連絡がないなら、かの神がどういう状態かわからないはずなのに、大国主神に媚びへつらっていることがわかるとは、こはいかに。

そんなわけで、高御産巣日(タカムスヒ)神と天照大御神が、また大勢の神たちに尋ねた。
「葦原中つ国に遣わした天穂日が、復命しない。今度はどの神を遣わしたらよかろうか」と尋ねた。


そこで思金(オモヒカネ)神は、
「【天津国玉(アマツクニタマ)神の子、天上界の青年天若日子(アメノワカヒコ)】を遣わすのがよいでしょう」と申し上げた。
そこで、天若日子に、鹿を射る弓天ノ真鹿児弓(マカコユミ)と大きな羽を付けた矢天の羽羽矢を授けて遣わした。

・天若日子(アメノワカヒコ)は、七夕の彦星で結構な美男子とされています。この後、恋に情熱を傾けます。

ところが天若日子(アメノワカヒコ)は、下界に着くや否や、
ただちに大国主神の娘の下光比売(シタテルヒメ)命を娶り、
その国を我がものにしようとたくらんで、八年経っても復命しなかった。


そこで天照大御神と高御産巣日神が、また大勢の神達に尋ねて
「天若日子が長い間復命しない。今度はどの神を遣わして理由を尋ねようか」と尋ねた。
そして【雉の、名は鳴女(ナキメ)】というものを遣わすことになった。


鳴女は
『あなたの任務は荒れ狂う神たちを服従させ帰順させること。それをなぜ八年になるまで復命しないのか』という事を尋ねる命令を受けた。


そこで鳴女は、高天が原から下って、天若日子の家の門前の神聖な桂の木の上にとまって、
詳しく天津神の伝言を伝えた。
そのとき、秘密を探り出す巫女天佐具売(アメノサグメ)がこの鳥の言うことを聞いて、天若日子に
「この鳥は、鳴く声がたいそう不吉です。だから射殺してしまいなさい」と勧めた。

・古今東西、戦では、交渉人や先触れを出す者、伝言役は見せしめに殺されるのがよくあったそうです。
その行為で以て意思表示をするのだとか。

天若日子はそれを聞くと、天より授かった弓矢でその雉を射殺してしまった。

その矢は、雉の胸を貫いて、さかさまに射上げられて、天の安河の河原にいる天照大御神と高木神の所にまで達した。
・この高木神というのは、高御産巣日(タカムスヒ)神の別名。

高木神がその矢を取って見るに、その矢の羽には血がついていた。
そこで高木神は「この矢は、天若日子に与えた矢である」と見抜き、ただちに大勢の神達に示した。
「もしも天若日子が命令に背かず、悪い神を射た矢がここに飛んで来たのだったら、天若日子に当たるな。
もしも邪心を抱いているのだったら、天若日子はこの矢に当たって死んでしまえ」と言い、
その矢を飛んできた穴から下に向けて突き返した。


その時、天若日子が朝の床に寝ていたのだが、その胸に命中し、死んでしまった。
これが「返し矢の起こり」である。
またその雉はついに還らなかった。
それで今でも諺に「雉のひた使い(行ったきりの使い=梨のつぶて)」というが、その起こりはこれである。

・メソポタミアの民間伝説で「ニムロッドの矢」というものがあります。
ニムロッド(Nimrod=権力のある猟夫)が神目掛けて天上に矢を射ると、
神によってその矢が返されて彼自身の胸板を貫くという話。


※古事記の現代語訳と銘打ってはいますが、『古事記』は様々な解釈・考察がなされている作品です。このブログでご紹介するお話はあくまでも一説でございます。
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2013年08月19日

古事記G〜大年神の神裔

こんにちは、神主のすおうです
本日も古事記の現代語訳を進めていきます。
前回は少名毘古那神と御諸山の神のお話でしたので、今回は大年神の神裔のお話です。
【目次】
--------------------------------------------

今回は大年神の妻と子供たちの名前を箇条書きに記述します。

大年神黒ハート【神活須毘(カムイクスビ)神の娘、穀物のみのりの神伊怒比売(イノヒメ)】=
@国土の神霊大国御魂(オオクニミタマ)神
A朝鮮半島系の神韓神(カラガミ)
B新羅の王都(ソウル)の神曾富理(ソホリ)神
C神羅の神白日(シラヒ)神
D日を知る神聖(ヒジリ)神

の五神。

大年神黒ハート香用比売(カグヨヒメ)】=、
E大香山戸臣(オホカグヤマトミ)神
F年穀の神御年(ミトシ)神

の二柱。

大年神黒ハート天知迦流美豆比売(アメチカルミヅヒメ)】=
G竈(カマド)の神、奥津日子(オキツヒコ)神奥津比売(オキツヒメ)命【別名・大戸比売(オホヘヒメ)神】
H大きな山を所有する神大山咋(オホヤマクヒ)神【別名・山の上を支配する神山末之大主(ヤマスエノオオヌシ)神】

・この神は近江の比叡山に鎮座し、(滋賀県・日枝神社)
また葛野の松尾に鎮座して、(京都府・松尾神社)
鳴鏑を神体とする神です。
I土地の神庭津日(ニハツヒ)神
J屋敷の神阿須波(アスハ)神
K箒の神波比岐(ハヒキ)神
L香山戸臣(カグヤマトミ)神
M山の麓の神羽山戸(ハヤマト)神
N庭を照らす日の神庭高津日(ニハタカツヒ)神
O土の神大土(オオツチ)神【別名・土之御祖(ツチノミオヤ)神】

の九神。

・大国御魂神〜大土神まで、合わせて十六神。

・今回は、お正月の神様でもある大年神からの系列。
・竃(カマド)の神様もここで登場します。
古来、竃は家の中心で、そこに宿る神様は、非常に厚く信仰されたものでした。
・大山咋(オホヤマクヒ)神のことを比叡山の王という意味で「山王(さんのう)」と呼びます。


【M羽山戸(ハヤマト)神黒ハート【豊穣の女神大宜都比売(オホゲツヒメ)神】=
@若山咋(ワカヤマクヒ)神
A若年(ワカトシ)神
B田植えをする早乙女、若狭那売(ワカサナメ)神
C水撒きの神弥豆麻岐(ミヅマキ)神
D夏の高く照る日の神夏高津日(ナツタカツヒ)神【別名・夏之売(ナツノメ)神】
E秋の女神秋毘売(アキビメ)神
F稲の実りの神久久年(ククトシ)神
G刈稲を小屋で掛ける縄の神久久紀若室葛根(ククキワカムロツナネ)神です。


・若山咋(ワカヤマクヒ)神〜若室葛根(ワカムロツナネ)神まで、合わせて八神。

オオゲツ姫は、以前スサノオの不興を買って殺された神様です。
【古事記(番外編)〜食べ物の神様】(2013年05月20日参照)
http://katorijinja.seesaa.net/article/354601260.html

子供達は、それぞれ四季を司ってます。

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2013年08月08日

古事記G〜少名毘古那神と御諸山の神

こんにちは、神主のすおうです
本日も古事記の現代語訳を進めていきます。
前回は大国主の神裔のお話でしたので、今回は少名毘古那神と御諸山の神のお話です。
【目次】
--------------------------------------------

さて、大国主神が出雲の美保の岬にいる時、
カガイモの実の船に乗って近づいてくる神様がいました。名前を尋ねましたが答えません。
お供に従っている神々に尋ねてみても、皆「知りません」と言う。

するとヒキガエルが、
「こわれた男久延毘古(クエビコ)がきっと知っているでしょう」と言った。

・久延毘古(クエビコ)は、山田のソホドという案山子(かかし)です。
この神は脚がなく、歩けないけれども、ことごとく天下のことを知っている神です。

すぐさま久延毘古に尋ねてみると、
「この神は神産巣日(カムムスヒ)神の御子の少名毘古那(スクナビコナ)ですよ」と答えました。
そこで大国主神が、神産巣日神に確認したところ、
「スクナビコナは私の子です。子供の中で、私の手の指の間から漏れこぼれた子です。
お前は、葦原色許男(アシハラシコヲ)神と兄弟となって、その国を造り固めなさい」
と言われました。

こうして、大己貴と少名毘古那神の二柱の神が共々に協力して、この国を作り固められた。
そして後に、その少名毘古那神は、海原のかなたの常世の国にお渡りになった。

・大国主とスクナビコナのコンビ結成のお話です。
・スクナビコナは、国造りの神、常世の神、医術・・穀物・知識・酒造・石の神と様々な性質があります。
・ちなみに、スクナビコナという名の小惑星がございます。神話の神様にちなんだ惑星の名前は結構多いようです。




「私一人で、どうしてこの国を作り固めることができようか。誰か協力してはくれまいか」と心配した。
このとき、海上を照らして近寄って来る神があった。
「丁重に私の御魂を祭ったならば、私はあなたに協力して、共に国づくりを完成させよう。
もしそうしなかったら、国作りはできないであろう」とその神は言った。

そこで大国主神が、
「それでは御魂をお祭り申し上げるには、どのようにいたしたらよいのですか」と尋ねると、

「私の御魂を、大和の青々と取り囲んでいる山々の、その東の山の上に清めて祭りなさい」と答えた。
これが御諸山(三輪山)の上に鎮座している神である。

・奈良県桜井市三輪町、三輪山の大神神社の起原神話。




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2013年07月31日

古事記F〜大国主の神裔

こんにちは、神主のすおうです
本日も古事記の現代語訳を進めていきます。
前回は八千矛の神の妻問物語のお話でしたので、今回は大国主の神裔のお話です。
【目次】
--------------------------------------------

今回は大国主の妻と子供たちの名前を箇条書きに記述します。

@
大国主神黒ハート【宗像の沖津宮に鎮まる多紀理毘売(タキリビメ)】
=【鋤を神格化した農耕神、阿遅金且高日子根(アヂスキタカヒコネ)神】
・この神は、賀茂の大御神といっている。
=【高比売(タカヒメ)、別名・光り輝く美姫の下照比売(シタテルヒメ)

大国主神黒ハート神屋楯比売(カムヤタテヒメ)
=【託宣の神、事代主(コトシロヌシ)

大国主神黒ハート【八島牟遅能(ヤシマムヂ)神の娘の鳥取(トトリ)
=【鳥鳴海(トリナルミ)

A
鳥鳴海神黒ハート日名照額田毘比売(ヒナテルヌカタビヒメ)】
=【国忍富(クニオシトミ)

B
国忍富神黒ハート葦那陀迦(アシナダカ)、別名・八河江比売(ヤガハエヒメ)】
=【速甕之多気佐波夜遅奴美(ハヤミカノタケサハヤヂヌミ)

C
速甕之多気佐波夜遅奴美神黒ハート【天之甕主(アメノミカヌシ)神の娘の前玉比売(サキタマヒメ)】
=【甕主日子(ミカヌシヒコ)

・既出の名前がちらほらと出てきます。
・原文の方もただ名前の羅列のみなので、あまり面白くはないかもしれません。けれど、今回出てくる神様は後ほどいっぱい登場して活躍します。

D
甕主日子神黒ハート【淤加美(オカミ)神の娘の比那良志毘売(ヒナラシビメ)】
=【多比理岐志流美(タヒリキシマルミノカミ)


E
多比理岐志流美神黒ハート【比比羅木之其花豆美(ヒヒラギノソノハナマヅミ)神の娘の活玉前玉比売(イクタマサキタマヒメ)
=【美呂浪(ミロナミ)

美呂浪神黒ハート【敷山主(シキヤマヌシ)神の娘の青沼馬沼押比売(アヲヌウマヌオシヒメ)】
=【布忍富鳥鳴海(ヌノオシトミトリナルドミ)

布忍富鳥鳴海神黒ハート若尽女(ワカツクシメ)
=【天日腹大科度美(アメノヒバラオホシナドミ)

天日腹大科度美神黒ハート【天之狭霧(アメノサギリ)神の娘の遠津待根(トホツマチネ)
=【遠津山岬多良斯(トホツヤマサキタラシ)

以上、八島牟遅能(ヤシマムヂ)神〜遠津山岬多良斯(トホツヤマサキタラシ)神までの神々を、十七世の神という。


・ここの一連の神様は日本書紀にはありません。
・実数は15世。別の神様を誤って数えこんでしまったという説があります。



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2013年07月27日

古事記F〜八千矛の神の妻問物語C

こんにちは、神主のすおうです
本日も古事記の現代語訳を進めていきます。
前回は八千矛の神の妻問物語Bでしたので、今回は八千矛の神の妻問物語Cのお話です。
【目次】
--------------------------------------------
そこでスセリ姫は大御杯を取って、
夫の神のそばに立ち寄り、杯を捧げて歌を詠った。

八千矛の 神の命や、 
吾が大国主。 
汝こそは 男(を)にいませば、 
うち廻(み)る 島の埼々(さきざき) 
かき廻る 磯の崎落ちず、 
若草の 妻持たせらめ。 
吾はもよ 女(め)にしあれば、 
汝を除て 男はなし。 
汝を除て 夫はなし。 
文垣の ふはやが下に、 
むし衾(ぶすま)に こやが下に、 
栲衾(たくぶすま) さやぐが下に、 
沫雪の 若やる胸を
栲綱の 白き腕(ただむき) 
そだたき たたきまながり 
真玉手 玉手さし枕き 
股長(ももなが)に 寝をしなせ 
豊御酒(とよみき)奉らせ

【歌謡E】

訳:
ヤチホコの神様、
わたくしの、偉大な国の支配者よ。
あなたは男性ですから、
めぐる島の岬々に、
めぐっている磯の崎ごとに、
どこにも若草のような妻をお持ちになっているでしょう。
わたくしは女性の身ですから、
あなた以外に男はなく、
あなたの他に夫はないのです。
ふわりと垂れた織物の下で、
暖かい夜具の柔らかな下で、
白い夜具のさやさやと鳴る下で、
沫雪のように白い若々しい胸を、
栲の綱のように白い腕で愛撫し、絡ませ合って、
私の美しい手を手枕として、
足を伸ばしてお休みなさいませ。
おいしい御酒を召し上がりませ。


そして杯をかわして、互いに首に手をかけて、
現在に至るまでむつまじく鎮座しておられる。
以上の歌は神語(かむがたり)という歌曲です。


・私には慎み深い良妻に見えるのですが、これで嫉妬深いとされたのですね。
・ヌナカワ姫と同じような官能的な文言。元はひとつの歌だったという説もあります。
・ずいぶんと率直に、けれど華やかに自分の言い分を伝える歌で、自分は好きです。
※古事記の現代語訳と銘打ってはいますが、『古事記』は様々な解釈・考察がなされている作品です。このブログでご紹介するお話はあくまでも一説でございます。
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2013年07月24日

古事記F〜八千矛の神の妻問物語B

こんにちは、神主のすおうです
本日も古事記の現代語訳を進めていきます。
前回は八千矛の神の妻問物語Aでしたので、今回は八千矛の神の妻問物語Bのお話です。
--------------------------------------------

また八千矛神の正妻の須世理毘売(スセリビメ)は、たいそう嫉妬深い神であった。
それを夫の神は当惑し、出雲国から大和国に上るために旅支度をして
出発しようとした時、片手を馬の鞍にかけ、片足をその御鐙(あぶみ)に踏み入れて詠った歌は、

ぬばたまの 黒き御衣(みけし)を 
まつぶさに 取り装ひ 
奥つ鳥 胸見る時、 
羽(は)たたぎも これは宜(ふさ)はず 、

辺つ波 そに脱き棄(う)て 
そに鳥の 青き御衣を 
まつぶさに 取り装ひ 
奥つ鳥 胸見る時、 
羽たたぎも こも宜はず 

辺つ波 そに脱ぎ棄て、 
山県に 蒔きし あたねつき 
染木が汁に 染め衣を 
まつぶさに 取り装ひ 
奥つ鳥 胸見る時 
羽たたぎも 此しよろし。 

いとこやの 妹の命、 
群鳥の わが群れ往なば、 
引け鳥の わが引け往なば、 
泣かじとは 汝は言ふとも、
山跡の 一本薄(ひともとすすき) 
項(うな)かぶし 汝が泣かさまく 
朝雨の さ霧に立たむぞ。 
若草の 嬬(つま)の命。
事の 語り事も ことば。

【歌謡D】

訳:
黒い衣を
丁寧に着込んで、
水鳥のように胸元を見ると、
その身のこなしも、これは似合わない。

岸に寄せる波が引くようにその背後にに脱ぎ捨て、
今度はかわせみの羽のような翡翠色の青い衣を
丁寧に着込んで、
水鳥のように胸元を見ると、
その身のこなしも、これは似合わない。

岸に寄せる波が引くようにその背後にに脱ぎ捨て、
山畑に蒔いた茜草をついて、
その染料で染めた藍色の衣を
丁寧に着込んで、
水鳥のように胸元を見ると、
その身のこなしも、これはよく似合う。

いとしい妻のよ、
群鳥が飛び立つように、
私が大勢の供人を連れ引いて行ったならば、
あなたは泣くまいと強がっていても、
山地に立つ一本の薄(すすき)のように、
うなだれて、あなたは泣くことだろう。
朝の雨が霧となって立ち込めるように。
若草のような妻の君よ。
   語り言はこの通りでございます。


・正妻と一悶着あったようです。
・この歌・前後の文面からは、余所の女性に会いに行くのか、戦に行くのか、どういう状況なのかわかりません。
・嫉妬深いとあるので、第二の妻に会いに行くのを恨んだのか。ですが、それだと大勢の供を引き連れていくという部分がかみ合いません。
・ただ、ひとつ言えることは、浮気を恨むことは当時「たいそう」嫉妬深い行為とされたようですね。現代とは違った感覚です。

※古事記の現代語訳と銘打ってはいますが、『古事記』は様々な解釈・考察がなされている作品です。このブログでご紹介するお話はあくまでも一説でございます。
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2013年07月20日

古事記F〜八千矛の神の妻問物語A

こんにちは、神主のすおうです
本日も古事記の現代語訳を進めていきます。
前回は八千矛の神の妻問物語@でしたので、今回は八千矛の神の妻問物語Aのお話です。
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そのとき沼河比売(ヌナカハヒメ)は、まだ戸を開けないで、家の中から詠った。

八千矛の 神の命。 
ぬえ草の 女にしあれば、 
わが心 浦渚(うらす)の鳥ぞ。
今こそは 我鳥にあらめ。 
後は 汝鳥(なとり)にあらむを、 
命は な死せたまひそ。 
いしたふや 天馳使(あまはせづかひ)、
事の 語り事も こをば。

【歌謡B】

訳:
八千矛神の命よ、
私はしおれた草のような女のことですから、
私の心は、浦州にいる水鳥のように、いつも落ち着かない。
ただ今は自分の意のままにふるまっていますが、やがてはあなたのお心のままになるでしょうから、
どうか殺さないでください。
   下にいる走り使いの
   語り言はこの通りでございます。

・扉を叩いていると、周りの鳥どもが煩くてかなわん。殴り殺そうかな」
と歌った大国主に対する返歌。
「もうすぐあなたのモノになるから殺さないで下さい」と。
・脅し文句を宥めたのか、それとも早くも良妻として夫を諌めたのか。

青山に 日が隠らば、
ぬばたまの 夜は出でなむ。
朝日の 笑み栄え来て、 
栲綱(たくづの)の 白き腕(ただむき)
沫雪の 若やる胸を 
そ叩き たたきまながり 
真玉手 玉手さし纏(ま)き 
股長(ももなが)に 寝はなさむを。 
あやに な恋ひ聞こし。 
八千矛の 神の命。
事の 語り言も こをば

【歌謡C】

訳:
青い山の向こうに日が沈んだら、
真っ暗な夜になりましょう。
そのとき朝日が輝くように、明るい笑みを浮かべて、
白い私の腕や、
泡雪のように白くて柔らかな若々しい胸を、
そっと叩いて手をとりかわし、
玉のように美しい私の手を手枕として、
脚を長々と伸ばしてお休みになることでしょう。
あまりひどく恋焦がれなさいますな、
八千矛(ヤチホコ)神の命よ。
   下にいる走り使いの
   語り言はこの通りでございます。


そしてその夜は会わないで、翌日の夜お会いになった。

・ヌナカハ姫の返歌が2連続。
官能的で意味ありげな歌を返して、けれども翌日までじらす。
ヌナカハ姫はやり手ですね。
ちなみに、ヌナカハ姫は北越の沼河の地の姫です。
「ぬなかは」は現・糸魚川市付近。

※古事記の現代語訳と銘打ってはいますが、『古事記』は様々な解釈・考察がなされている作品です。このブログでご紹介するお話はあくまでも一説でございます。
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2013年07月17日

古事記F〜八千矛の神の妻問物語@

こんにちは、神主のすおうです
本日も古事記の現代語訳を進めていきます。
前回はスサノヲからの試練のお話でしたので、今回は八千矛の神の妻問物語@のお話です。
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この八千矛神(大国主神)が、越の国の沼河比売(ヌナカハヒメ)に求婚しようとして出かけた。
沼河比売の家に着いた時、歌を詠んだ。

八千矛の 神の命(みこと)は、 
八島国 妻纏きかねて、
遠々し 高志国(こしのくに)に
賢し女を ありと聞かして、
麗し女を ありと聞こして 
さ婚(よば)ひに あり立たし
婚ひに あり通わせ、 
太刀が緒も いまだ解かずて、
襲(おすひ)をも いまだ解かねば 
乙女の 寝すや板戸を
押そぶらひ わが立たせれば、 
引こづらひ わが立たせれば、 
青山に 鵺は鳴きぬ。
さ野つ鳥 雉(きざし)はとよむ。 
庭つ鳥 鶏(かけ)は鳴く。 
うれたくも 鳴くなる鳥か。 
この鳥も 打ちやめこせね。
いしたふや 天馳使(あまはせづかひ)、
事の 語り事も こをば。

【歌謡A】

訳:
八千矛神の命は、
日本国中で思わしい妻を娶ることができなくて、
遠い遠い越国に
賢明な女性がいると聞いたので、
美しい女性がいると聞いたので、
求婚しに出かけ、
求婚に通い続けられ、
太刀の緒もまだ解かずに、
襲(=羽織)もまだ脱がずに、
娘の寝ている家の板戸を、
押し揺さぶって立っていると、
しきりに引き揺さぶって立っていると、
青山では鵺が鳴いた。
野の雉はけたたましく鳴いている。
庭先で鶏も鳴いている。
いまいましくも鳴く鳥どもだ。
あの鳥どもを打ち叩いて鳴くのをやめさせてくれ。
   下にいる走り使いの
   語り言はこの通りでございます。


・八千矛神は「多くの武器のある神」の意。
・なかなか思うような妻を得られなくて、妻探しをしていたとありますが、すでに妻は二柱いましたよね。その二柱では足りないのですね。
・この話は長い歌の贈答を中心とした物語です。そう、長いのです。なので複数回に分けて更新いたします。
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2013年07月13日

古事記E〜試練からの逃亡

こんにちは、神主のすおうです
本日も古事記の現代語訳を進めていきます。
前回はスサノヲからの試練のお話でしたので、今回は逃亡のお話です。
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須佐之男(スサノヲ)が眠ってしまったので、大己貴(オホナムヂ)は、スサノヲの髪をつかんで、室屋の柱毎に結び付けた。
そして、五百人で引くほどの大きな岩をその室屋の戸口に置いて、
妻を背負い、スサノヲの宝物である生太刀・生弓矢(生命の込められている太刀・弓矢)、天の詔琴(美しい立派な琴)を持って逃げ出そうとした。
その際、琴をぶつけてしまい、天地が鳴動するような音をさせてしまった。
するとスサノヲが、ビックリして目を覚まし、その室屋を引き倒してしまった。
けれども、柱に結びつけた髪を解いている間に、大己貴は遠くへ逃げ延びた。

・どさくさに紛れて宝物も一緒に持ち逃げします。なかなかにしたたかな根性。

スサノヲは、黄泉比良坂まで追いかけてきた。
はるか遠くに大己貴の姿を望み見て、大声で呼びかけた。
「お前が持っているその生太刀・生弓矢で、お前の腹違いの兄弟を坂の裾に追い伏せ、
また道の行く手に追い払って、きみが大国主神となりなさい!
また宇都志国玉(うつしくにたま)の神(国土の神霊)となって、スセリ姫を正妻として、宇迦の山のふもとに、壮大な宮殿を建ててそこに住め」と叫んだ。

・スサノヲが大己貴に呼びかける時、本文では親愛の二人称を用いて呼びかけています。殺そうとはしたけれど、憎んでいるわけではないということなんですね。よくわかりませんが、スサノヲの大国主に対する不器用な愛情が感じ取れなくもない、ような。
・ここで初めて大国主と呼ばれます。
・黄泉比良坂はイザナギ・イザナミが喧嘩したところです。
場所は島根県にあります。

大己貴は、その太刀や弓でもって、兄弟の八十神を追い退けた。
坂のすそごとに追い伏せ、道の行く手毎に追い払って、国作りを始めた。
そしてあの八上比売(ヤガミヒメ)は、以前の約束のとおり、大国主神と結婚した。
そしてヤガミ姫は出雲へ連れてこられたが、本妻を恐れて、生んだ子を樹の股に差し挟んで因幡に帰ってしまった。
それでその子を木股神(キマタノカミ)【別名・御井神(ミヰノカミ)】という。

・木の股など、V字状のところは神の座であり、神出現の場でもあります。
・奥さんが複数いたら交流関係は大変です。とくに奥さんが。
一夫多妻に憧れる男性もいるかとは思いますが、それをやりたい方は、関係がこじれないよう全てに気を配る責任があるでしょう。それができないなら、最初からやらない方が無難です。周囲に被害がおよびます。
・木股神は木の神、水神、安産の神として崇敬されています。
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2013年07月06日

古事記E〜スサノヲからの試練

こんにちは、神主のすおうです
本日も古事記の現代語訳を進めていきます。
前回は兄弟の不仲のお話でしたので、今回はスサノヲからの試練のお話です。
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大己貴(オホナムヂ)は、助言に従って、須佐之男のいるところにやって来た。
その娘の須世理毘売(スセリビメ)が出てきて、大己貴の姿を見て、
互いに目を見交わし結婚した。

・一目ぼれにしても、順序を飛ばし過ぎでしょう。見つめ合っただけで、言葉すら交わしていません。
何かしらのロマンスがあったのかもしれませんが、一行におさめられました。
そういえばヤガミ姫との結婚はどうしたんでしょうか。

スセリ姫は御殿に引き返して父親(スサノヲ)に
「とても立派な神がおいでになりました」と申し上げた。
須佐之男は一目見て「これは葦原色許男(アシハラシコヲ)命という神だ」と見抜いた。
そして、すぐに御殿に呼び入れて、蛇のいる室に寝させた。
その時、妻のスセリ姫は、蛇の害を祓う領巾(ひれ)を夫に授け、
「その蛇が食いつこうとしたら、この領巾を三度振って打ち払いなさいませ」といった。
こうして教えられた通りにしたところ、蛇は自然に鎮まったので、
安らかに眠り、無事に室を出ることができた。

・苦境から逃げ、逃げた先でもまた苦難が降りかかってくる。
高くジャンプするためには、低くかがまなければなりません。
金塊もハンマーで砕かないと、純金の姿は拝めません。
鉄は火によってこそ鍛えられます。
成長の為に苦難は必要不可欠の要素です。
スサノヲが、彼を成長させるために苦難を与えているのか、
いきなりやってきた男に娘を取られたのが気に食わないのか、わかりませんけれども。

また翌日の夜は、ムカデと蜂のいる室に入れられた。
今度もスセリ姫はムカデ足と蜂を祓う領巾を授けて、前のように教えた。
それで無事にそこから出る事が出来た。


また須佐之男は、鏑矢を広い野原の中に射込んで、その矢を拾わせた。
大己貴が野原に入ると、火を放ってその野を周囲から焼いた。
脱出できずに困っていると、ねずみが現れて「入口は狭いけれど、中は広いよ」と教えた。
そうねずみがいうのでそこを踏んでみたところ、穴に隠れることができ、火をやり過ごすことが出来た。
そしてねずみが、矢を咥えて出てきて、大己貴に渡した。
矢の羽は、ねずみの子供がみな食いちぎっていた。

・運と周りの人達を味方につけて困難を切り抜けます。
それにしても殺す気マンマンです。

スセリ姫は、葬式の道具を持って泣きながら現れた。
スサノヲも、大己貴はとっくに死んだと思ったのだけれど、矢を持って現れたので驚いた。
そして大己貴を家の中に連れて入り、
広い大室屋に呼び入れて、その頭の虱を取ることを命じた。
そこで大己貴がスサノヲの頭を見ると、百足がいっぱいいた。


妻スセリ姫は、椋(むく)の実と赤土とを取ってその夫に与えた。
そこで大己貴はその椋の実を噛み砕き、赤土を口に含んでつばを吐き出した。


スサノヲは、百足を噛み砕いて、つばを吐き出したのだと思い、
心の中でかわいいやつだと感心して眠ってしまった。

・この時代、虱はともかくムカデが頭に居るのは普通の事なんですかね? 現代人にはいまいちピンとこない所でしょう。
・それにしても、散々痛めつけて殺そうとした相手を前に、普通寝ようなんて思いません。しっぺ返しが恐ろしいですから。


※古事記の現代語訳と銘打ってはいますが、『古事記』は様々な解釈・考察がなされている作品です。このブログでご紹介するお話はあくまでも一説でございます。
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2013年06月29日

古事記E〜八十神の迫害

こんにちは、神主のすおうです
本日も古事記の現代語訳を進めていきます。
前回は因幡の白兎のお話でしたので、今回は兄弟の不仲のお話です。
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八上比売(ヤガミヒメ)八十神の申し出をきっぱりと断りました。そして
「わたしは大己貴(オホナムヂ)と結婚します」と言った。
これを聞いた八十神達は怒って、大己貴を殺そうと考えたのです。


兄弟みんなで相談して、ある作戦をたてました。
そして伯岐国の手前の山麓にやってきて大己貴に言ったのです。
「赤い猪がこの山にいる。我々が一斉に追い降ろすから、お前は下で待ち受けて捕まえるんだぞ。
もし捕まえられなかったら、必ずお前を殺すからな」
けれど兄弟たちが実際に落としたのは猪に似た大石を火で焼いたものでした。そんなものを転がし落としたのです。
落ちてくる岩を受け止めようとして、大己貴はたちまちその焼け石に焼きつかれて、死んでしまいました。

・どちらを選んでも殺される、選択肢があるように見せかけて、実際は一択しかありません。
大国主は、荷物持ちとして連れて来られたとだけ書いてあるので、ヤガミ姫のことをどう思っていたのかはわかりません。
彼も求婚しようと考えていたのか、まったく興味がなかったのか。
事情を知っていて殺されたのか、訳もわからず死んでいったのか。想像力を掻き立てられます。

このことを知った、母のサシクニワカ姫は、嘆き悲しみ、高天原に上って、神産巣日神(カムムスヒノカミ)に救いを求めた。
そうして神産巣日神は、ただちに
赤貝の女神蚶貝比売(キサガイヒメ)
ハマグリの女神蛤貝比売(ウムギヒメ)を遣わして、治療し蘇生させた。
キサガイ姫が貝殻を削って粉を集め、ウムギ姫がこれを待ち受けて、ハマグリの汁で解いた母汁を塗ったところ、大己貴は立派な男子となって元気に復活した。

・死と再生の話。母汁は母乳に見立てています。二人の貝の女神たちが施した処方は、古代の火傷の療法です。

ところが八十神たちは、これを見て、再び大己貴をだまして山に連れ込みました。
そして、大木を切り倒し、楔をその木に打ちたて、その割れ目の間に入らせるや否や、その楔を引き抜いて打ち殺した。
そこでまた、御母神が泣きながら大己貴を捜して発見し、すぐにその木を裂いて取り出して復活させた。

・八十神たちはどこで見てたんですかね? 母神の後をつけたのか、しつこいですね。
・大己貴は無抵抗なのか、抵抗むなしくもあえなく殺されてしまったのか。なんにせよ、どういう気持ちなのかわかりません。

母は「あなたはここにいたら、いつか八十神たちによって滅されてしまうだろう」
そう言って、すぐに木の国である紀伊国の家屋の神大屋毘古神(オホヤビコノカミ)の元に逃がした。
ところが八十神たちが捜し求めて追いかけて来た。
弓に矢をつがえて大己貴を引き渡せと求めた。
大屋毘古神は、木の股をくぐって息子を逃がし
「須佐之男命がおられる根の堅州国に行きなさい。
きっとその大神がよいように考えてくださるでしょう」と伝えた。

・兄弟たちは本当にしつこいですね。何が彼らをそこまで駆り立てるのか。プライドなんですかね?
・大屋毘古神はイザナギ・イザナミの子供です。覚えてましたか?
ただこのシーン、かくまってくれる神が日本書紀では名前が異なります。興味があれば確認してみてください。

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2013年06月22日

古事記E〜因幡の白兎

こんにちは、神主のすおうです
本日も古事記の現代語訳を進めていきます。
前回は大国主の誕生までのお話でしたので、今回は因幡の白兎のお話です。
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さてこの大国主神にはたくさんの兄弟神がいました。
しかし皆、この国を大国主神に譲って身を引いたのです。

・その譲るに至った経緯が次から書いてあります。

その大勢の神々(八十神は、皆、因幡の八上比売(ヤガミヒメ)に求婚しよう
という下心があって、一緒に因幡に出かけました。
その時の荷物持ちとして、大己貴命(オホナムヂ=大国主神)を連れて行きました。


旅の途中気多の岬にやってきたとき、毛を毟られ、丸裸になったウサギが横たわっているのが見えました。
これを見た八十神はウサギに、
「その身体を治すには、この塩水を浴びて、風にあたって、高い山の頂に寝ればいいよ」と教えました。
それでそのウサギは、教わった通りにしました。
すると浴びた塩水が乾くにつれて、ウサギの身体の皮膚が、すっかり風に吹かれてひび割れるのです。
それで兎が痛み苦しんで泣き伏していると、兄弟の後からついてきた大己貴命神が、その兎を見て、
「どういうわけで、お前は泣き伏しているのか」と尋ねました。

・有名な「因幡の白兎」のお話です。
これこそ、日本の神話、昔話。
この話はまさに昔話のようで、自分は好きです。イソップ童話に出てきそうですね。

兎「私は沖ノ島にいて、ここに渡りたいと思ったのですが、渡る方法がなかったので、海にいる鰐をだまして『私とお前、どちらが同属が多いかを数えてみたい。
だからお前は同属をありったけ全部連れてきて、この島から気多の岬まで、みな一列に並んで伏してくださいまし。
そうしたら、私がその上を踏んで、走りながら数えて渡ります。
そうやって私の同属とどちらが多いかを調べましょう』と、言いました。
そして、鰐がだまされて並んで伏している所を、その上を踏んで、数えながら渡ってきました。
いまや地上におりようとするとき、私が、『お前は私にだまされたのだよ』と言い終わるや否や、一番端に伏していた鰐が私を捕らえて、私の毛皮をすっかり剥ぎ取りました。
そのために泣き悲しんでいたところ、先に行った大勢の神々が『塩水を浴びて、風に当たって寝ておれ』と教えてくれました。
それで教えの通りにしましたら、私の身体は全身傷だらけになりました」

・自業自得とは思いますが、八十神たちとの出会いは本当に災難ですね。泣きっ面に蜂。
・八十神とは兄弟と書いてありますが、神話においての兄弟は真実の兄弟とは限りません。兄弟・姉妹の仲が悪いことが多いのはストーリー上のエッセンスなのでしょうか。
・ちなみに、ここに出てくる鰐(わに)とは、鮫(さめ)のことです。

大己貴神は、その兎に
「今すぐにこの河口に行って、真水でお前の身体を洗って、
ただちにその河口の蒲の花粉を取って撒き散らし、その上に寝転がりなさい。
そうするとお前の身体は元の肌のようにきっと治るだろう」と教えた。
その教えの通りにしたところ、兎の体は元通りになった。
これが因幡の白兎である。
今もこの兎を兎神といって祭っている。
そこでその兎は、大己貴命神に
「あの大勢の神々は、きっと八上比売(ヤガミヒメ)を娶ることはできないでしょう。
袋を背負ってはいるが、あなた様が娶られるでしょう」と予言した。

・ウサギはお礼の為におべっかを言っているわけではありません。
・八上姫は現段階でいうと、多くの神に求婚されようとしている高嶺の花です。ですが、大国主との結婚にはいろいろと一悶着ございます。


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2013年06月15日

古事記D〜スサノヲの子供たち

こんにちは、神主のすおうです
本日も古事記の現代語訳を進めていきます。
前回は八岐大蛇のお話でしたので、今回はスサノヲの子供のお話です。
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そうして須佐之男と妻の奇稲田比売(クシナダヒメ)は子供を生みました。
・こんがらがるので箇条書きにします。

@【須佐之男黒ハート奇稲田比売(クシナダヒメ)】=【大八洲全てを知る八島士奴美神(ヤシマジヌミノカミ)】

須佐之男黒ハート【大山津見の娘、市場の守護神・食料神神大市比売(カムオホイチヒメ)】=【穀物の神大年神(オホトシノカミ)】と【穀物の神宇迦之御魂(ウカノミタマノカミ)】の二柱

・スサノヲの子供は3柱。

A【八島士奴美神黒ハート【大山津見の娘木花知流比売(コノハナチルヒメ)】=布波母遅久須奴神(フハノモヂクヌスヌノカミ)

B【布波母遅久須奴神黒ハート【闇淤加美(クラオカミ)の娘の日河比売(ヒカハヒメ)】=水を遣る神深淵之水夜礼花神(フカフチノミヅヤレハナノカミ)

・こんがらがり易いところです。この系譜は最終的に大国主につながっていきます。
・カムオホイチ姫は唐突に登場します。
大山津見はクシナダ姫の祖父であり、カムオホイチ姫とコノハナチル姫の父です。
なので、クシナダ姫とカムオホイチ姫とコノハナチル姫は親戚なんですね。
そして天孫ニニギと結婚するコノハナサクヤ姫の父もオオヤマヅミ。子沢山孫沢山な大山津見
・ウカノミタマはお稲荷さんで有名です。

C【深淵之水夜礼花黒ハート【水を集える神天之都度閇知泥神(アメノツドヘツネノカミ)】=淤美豆奴神(オミヅヌノカミ)

D【淤美豆奴神黒ハート【布怒豆怒(フヌヅヌノカミ)の娘、布帝耳(フテミミノカミ)】=天之冬衣神(アメノフユキヌノカミ)

E【天之冬衣神黒ハート【刺国大神(サシクニオホノカミ)の娘の、刺国若比売(サシクニワカヒメ)】=大国主命(オオクニヌシノミコト)【別名・大己貴命(オホナムヂ)神・葦原色許男(アシハラシコヲ)神・八千矛(ヤチホコ)神・宇都志国玉(ウツシクニタマ)神】
あわせて5つの名前がある。


・この部分はただ神様の名前が羅列してあるだけで面白くないです。
ただ、凝った名前の神様が多いので、その名前の意味を考えてみるのは面白いかもしれません。
ちなみにやっと出てきた大国主はスサノオから下って6代目です。
古事記に記載されているのは5つの名前ですが、風土記に記載されている各地の英雄を同一とまとめたので、もっとたくさんあります。なんだか政治の臭いがします。

大国主命と言えば、出雲大社。一度行ってみたい場所です。

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2013年06月08日

古事記D〜八岐大蛇A

こんにちは、神主のすおうです
本日も古事記の現代語訳を進めていきます。
前回は八岐大蛇(冒頭)のお話でしたので、今回はその続きのお話です。
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大蛇はすぐに酒槽に頭を入れて酒を飲みました。そして酔っぱらって眠ってしまいました。
須佐之男は、身に着けていた十拳剣を抜いてその大蛇をずたずたに切りました。
肥河の水は真っ赤な血で染まっています。
大蛇の中ほどの尾を刺し裂いてみると、素晴らしい太刀があったので不思議な物だと思い、天照大御神にこの事を伝え奉りました。
これが草薙の太刀です。

・たった数行で対決が終わりました。
尾っぽから出てきた剣はこの時点では「天叢雲(アメノムラクモ)」の剣といいます。
後にヤマトタケル命が野の草を薙いで火難を逃れたので「くさなぎ」の剣と呼びます。
以前お話した三種の神器の一つで、熱田神宮にまつられています。

こうして須佐之男は、新居の土地を出雲国に求めました。
そして須賀の地にたどり着いて、
「私はここに来て、気分が清々しい」と言い、そこに新居の宮を造って住んだのです。
それでその地を今でも須賀と呼んでいるのである。
この大神が初めて須賀の宮を造ったとき、その地から盛んに雲が立ち上ったので、御歌を詠みました。


八雲立つ 出雲八重垣 妻ごみに 
八重垣作る その八重垣を

【歌謡@】
(盛んに沸き起こる雲が、八重の垣をめぐらしてくれる。
新妻をこもらせるために、八重垣をめぐらすことよ。
あの素晴らしい八重垣よ)

そして足名椎(アシナヅチ)を呼んで、
「あなたを我が宮の首長に任じよう」と言い、
また名を与えて、稲田宮主須賀之八耳神(いなだのみやぬしすがのやつみみのかみ)と名付けました。

・「清々しいから」という理由で名付けられた地名。
今後もこんなダジャレでつけられた地名はたくさん出てきます。
ちなみに、クシナダ姫は「霊妙な稲穂の神様」の意です。
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※古事記の現代語訳と銘打ってはいますが、『古事記』は様々な解釈・考察がなされている作品です。このブログでご紹介するお話はあくまでも一説でございます。
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2013年06月01日

第17回・古事記D〜八岐大蛇@

こんにちは、神主のすおうです
本日も古事記の現代語訳を進めていきます。
前回は穀物の女神のお話でしたので、今回は八岐大蛇のお話です。
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こうして高天原を追われた須佐之男は、出雲国の肥河の川上の鳥髪という所に降り立ちました。
このとき、箸がその河を流れて来たのです。
なので須佐之男は、川上に人が住んでいると思い、たずね探して上って行きました。
するとそこには、おじいさんとおばあさんが少女を間に挟んで泣いていたのです。
須佐之男はその人たちに尋ねました。

須佐之男「あなた方は誰なのですか?」
おじいさん「私は国つ神の大山津見神(オホヤマツミカミ)の子です。私の名は足名椎(アシナヅチ)、妻の名は手名椎(テナヅチ)、娘の名は奇稲田比売(クシナダヒメ)といいます」
須佐之男「なぜ泣いているのですか?」
おじいさん「私の娘は元々8人おりましたが、あの高志の八俣大蛇(ヤマタノオロチ)が毎年襲ってきて、娘を食ってしまいました。今年も今、その大蛇がやって来る時期となったので、泣き悲しんでいます」

・有名なヤマタノオロチ退治の幕開けです。

・大山津見神は、イザナギ、イザナミが神産みで産んだ、たくさんの自然の神の一柱です。
瀬戸内海の島にある大山祇神社に祭られております。
山の神様なのですが、海の性格も強い神様で、一人角力(ひとり相撲)などで有名な神社です。

須佐之男「その大蛇はどんな姿なんですか?」
おじいさん「その目は鬼灯のように真っ赤で、胴体一つに八つの頭と八つの尾があります。
そして体には、ひかげのかずらや檜・杉の木が生えていて、
その長さは八つの谷、八つの峰にわたっており、
その腹を見ると、一面にいつも血がにじんで爛れています」
須佐之男「そのあなたの娘を、私の妻に下さらないか」
おじいさん「しかし私どもはあなたのお名前も知りません」
須佐之男「私は天照大御神の弟で、たった今、高天原から降って来たところだ」
おじいさん・おばあさん「わかりました。娘を差し上げましょう」

そこで須佐之男は、たちまちその少女を爪形の櫛に姿を変えて、御角髪に刺し、
「あなた方は、幾度も繰り返し醸した濃い酒を造ってもらいます。
そして囲いを作り廻らし、その囲いに八つの門を作り、
門ごとに八つの桟敷(物をのせる台)を作り、
その桟敷ごとに酒桶を置き、
中にその濃い酒を満たして待ちうけてもらいます」と命令しました。

二人は命じられたとおり、準備して待ちうけていると、その八俣大蛇(ヤマタノオロチ)が、本当に老人の言葉のとおりに現れた。

・対決の準備段階です。
スサノオがクシナダ姫を櫛に変えて頭にさすシーン。
女が魂を込めた櫛を男の髪に挿すのは、婚姻を表しています。

・「ドラ〇もん」ののび太君がヤマタノオロチを見て、「ヤマタノオロチは首が八つだから又は七つ。だからナナマタノオロチだ」みたいな事を言っていました。ですが八岐大蛇の「岐」は、「わかれる」という意味なので、あの蛇は、「八つに首が分かれている大きなヘビ」なのです。

※古事記の現代語訳と銘打ってはいますが、『古事記』は様々な解釈・考察がなされている作品です。このブログでご紹介するお話はあくまでも一説でございます。
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2013年05月20日

第16回・古事記(番外編)〜食べ物の神様

こんにちは、神主のすおうです
本日も古事記の現代語訳を進めていきます。
前回は天の岩屋戸のお話でしたので、今回は大宜都比売(オオゲツヒメ)の神のお話です。
このお話は挿入神話です。
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須佐之男命は、食物を穀物の女神・大宜都比売(オオゲツヒメ)神に求めた。
そこでオオゲツヒメは、鼻・口・尻からたくさんのおいしい食べ物を出して、料理をしてあげた。

・いきなりショッキング。スサノオもびっくりするはずです。

スサノオは、それを見て汚いものを出された思って、ただちにオオゲツヒメを殺してしまった。
そして殺された神の身体から生まれ出た物は、
頭に蚕、
両目から稲の種、
両耳に粟、
鼻に小豆、
陰部に麦、
尻に大豆が生まれた。

そこで神産巣日(カムムスヒ)の御母神が、これらを取らせて五穀の種となさった。

・お互いにもう少し会話なりのコミュニケーションがあれば防げた惨事のような気がします。
ただ、そのおかげで穀物が生まれます。

・死から豊穣が生まれる神話は世界各地にあります。ギリシア神話、ヒンドゥー神話などにも出てきます。

・大宜都比売はイザナギ・イザナミの子供で、火之加具土の直前に生まれて名前だけ登場しています。

・ちなみに登場人物は、古事記ではスサノヲですが、日本書記では月読です。


※古事記の現代語訳と銘打ってはいますが、『古事記』は様々な解釈・考察がなされている作品です。このブログでご紹介するお話はあくまでも一説でございます。
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